はちみつについて
はちみつについてバックアップ20251209
天然はちみつ
アブルッツォ州・アペニン山脈の最高峰、グランサッソの麓で採取されます。
EUの環境保護地区に指定されています。
天然はちみつは、加熱、水あめの混合、低温殺菌を行っていません。
そのため、栄養価や殺菌力は加工はちみつとは比較になりません。
また、日本では果糖の割合が全糖分中の50%以上、しょ糖の割合が全体の重量の5%以下と定められています。
天然はちみつもオリーブオイルと同様に、腸の状態を正常に保ってくれる優れた食品です。
良質な油分と同様、良質の糖分もまた、私たちの食生活を豊かにしてくれます。
- 2025.12.09
- 19:27
- コメント (0)
honey_test
~グランサッソの雄大な山々~
イタリア半島の北から南まで中央を1200kmにわたり縦断するアペニン山脈の最高峰、グランサッソ国立自然公園。 EUの自然保護区域に指定され、手つかずの自然が残る、土も空気も水もこの上なく美しい場所です。ヨーロッパの最も南にある氷河が見られます。 標高は2914m。グランサッソは巨大な石という意味です。世界最大級の素粒子天体物理学研究所やムッソリーニが幽閉されていた場所があります。
~養蜂家 カルロ・ピエトランジェリ氏~
いつも温かく人情味あふれる表情でまわりを魅了するカルロさんは、グランサッソの麓にあるアペニン山脈の最も標高が高い居住区のひとつ、
カンポトストの村で生まれ、12歳までこの雄大な自然の中で育ちました。冬は豪雪地帯、夏の最高気温平均が25℃以下、
夜は16℃くらいになる、典型的なアルプス気候です。
2千年前から羊の放牧が盛んで、ピレネー犬の先祖にあたる、マレンマシープドッグの原産地です。犬たちは古くからこの地で狼や熊から羊や豚などの家畜を守ってきました。また、紀元前より卓越した食肉加工の技術を持つ職人たちがいたところとしても知られています。彼らはイタリア各地で生ハムやサラミを作り、歴史的にも貴重な食文化が残っています。近くのアマトリーチェの街は羊の乳でできたペコリーノ
チーズと豚の頬肉を干したグアンチャーレのパスタ、”アマトリチャーナ”が生まれたところ。取材に行った日も、夕飯にカルロさんがアマトリ
チャーナのパスタを作ってご馳走してくれました。
どんな子供時代だったか尋ねると、「僕は随分じいちゃんに守ってもらったんだ。いつでも味方してくれるじいちゃんだったよ」と。
なんとなく想像できます。その後ローマの下町トラステヴェレ地区で長く暮らし、現在はローマ近郊在住、養蜂の時に山に滞在
しています。ちゃきちゃきのローマっ子、いかにもローマの人に見える半面、山にいる時は山男の顔が垣間見られます。
カンポトストの山で採取したはちみつは、ローマの自然食品店やパンテオン近くの歴史ある薬局で販売され、店主がローマ在住だった30年前、この薬局でカルロさんのはちみつと出会いました。奥様はハーブ薬剤師の資格を持ち、自然食やオーガニックコスメを扱うお店を経営しています。
カルロさんは職人気質で頑固な面もあり、はちみつを作るにあたって一切の妥協はありません。
~良いはちみつを採るために~
よくイタリアの友人たちからも、カルロさんのはちみつは特別おいしいと言われます。カルロさんにどうして?と尋ねると、「イタリアは良いはちみつが採れるところがいくつもある。 味を左右するのは蜜源なのだよ」と。きれいな水と空気、土、気候。はちみつに限らず、イタリアの農産物は、みんなびっくりするほど 味が濃く、香りが強い。もしかしたら花の蜜もそうなのかもしれません。イタリア半島は年間雨量が日本の半分。太陽が燦燦と降り注ぐ乾燥した気候と土地、野菜や果物同様、はちみつもまたその土地の味を ダイレクトに感じられます。カルロさんのはちみつはどの種類もまるで花畑にいるような、華やかな香りが際立ちます。それでいてすっきりした甘味と深い滋養のある味わいに、 はちみつの概念が覆ったというお客様も。かくいう店主も同じでした。

カルロさん曰く、ミツバチはなるべく大自然の中にいた方がよいとのこと。
ミツバチにとってもここは天国のようです。フレームから直接はちみつを一さじ
いただきました。
2日後、戻って同じフレームを見てみると、穴はふさがっていました。
みつばちが穴を蜜と蜜ろうで素早くふさいだのでした。
1匹のミツバチが一生の間に採るはちみつがティースプーン1杯と考えると驚異的です。
蜜がぎっしり詰まった巣箱はひと箱で20㎏ほど。重労働なのが分かります。
効率を重視して利益や生産性を高めようとしたり、まったく同じ味、色、形状を
求めると、加熱したり他の成分を加えたりすることになります。栄養素や風味は
失われてしまいます。養蜂は気温や湿度、天候と密接にかかわりがあり、
色、形状、風味はいつも様々な表情を見せてくれます。自然の影響で毎年変わる
味や香りを楽しむことが大切です。
イタリアの人々には、食べ物とは本来そういうものだという共通の認識が一人ひとりに深く根付いているのでしょう。生産性を上げる、安定供給とは別の視点で、 利益度外視、せっせと最高のものを作り続ける人々と何度も出会ってきました。たとえ食べ物を取り巻く世の中の流れとは違う方向だったとしても、力の許す限り 安全で安心、最高のものを作りたいのです。食べた時に心からおいしいと満面の笑みが溢れる食品、そういった食品はこれからどんどん貴重になっていくと思います。
~カルロさんの工房~
工房の壁には、代々使ってきたはちみつを出す年代物の蛇口があります。その年の優れたはちみつにもらえる賞もいくつも受賞しています。 カルロさんはこの工房でよく一人でラジオを聴きながら作業をします。繁忙期には弟さんも手伝いにきてくれるそうです。
作業はシンプル、フレームの蝋を削り、遠心分離器にかけ、濾過して採取します。
注文を受けてからローマのトッレ・ヴェルガータ大学の研究室にサンプルを送り、花の種類ごとに糖分分析や水分量、抗生物質不使用の検査を2週間かけて行います。 結果が出たら日本の税関で求められる書類を準備します。瓶詰、厳重な梱包をし、飛行機で東京のブオーノイタリアまで送ります。検査料は一種類につき200ユーロ。
~天然はちみつ~
天然蜂蜜の国際的な定義では、果糖およびブドウ糖の含有量の合計が全重量の60%
以上のもの、蔗糖が5%以下と定められています。
元々の花の蜜は蔗糖と水分。ミツバチは蜜を巣に持ち帰り、唾液の酵素で
糖をブドウ糖と果糖に還元させます。これを還元糖といいます。
さらにミツバチは羽を羽ばたかせながら蜜の水分を蒸発させていきます。
国際的な天然蜂蜜の規定では、温度20度における水分量は全重量の20%以下と定められて
います。中には時間をおかずに巣箱の横で採取する養蜂家もいるそうです。そうすると
十分に蒸発させる時間を持てずに水分が多く発酵しやすい蜂蜜になります。殺菌力が強く水分が少ない蜂蜜は腐敗を防ぐことにも適し、これまでもエジプトのピラミッドから当時のままの蜂蜜が発見されています。天然の保存料として腐ることはありません。ちなみに
カルロさんの蜂蜜はどの種類も毎年100g中15.30g~18.50gを保ち、果糖、ブドウ糖の割合は8割を超えています。
これらの規定から外れると、「天然蜂蜜」として輸入許可が下りず、加工蜂蜜に分類され、
関税率も変わります。カルロさんのはちみつは25年間「天然蜂蜜」として日本に輸入され、
無敵の輸入実績を誇ります。ブドウ糖と果糖の割合も常に8割を超えています。
このように、天然蜂蜜とは非加熱、水あめ等他の糖分を加えていないなどは当たり前であり、
それ以外に成分にも厳しい規定があります。高品質の蜂蜜の条件には、気候やミツバチの働きが不可欠です。
天然というと、素朴でおおざっぱな印象を持たれがちですが、天然蜂蜜と名乗るにはこれだけの条件を
自然とミツバチの力だけでクリアしなければなりません。味も素朴というより、人の手では到底作り出せない、イタリアの恵まれた土地ならではの、華やかで
洗練された香りと滋味あふれるものなのです。
写真のように、結晶化した蜂蜜の中に白い模様が見られます。
こちらは水分量が少ない時に見られる兆候。「均一ではないので
見た目が悪いのだけど、これは良い蜂蜜の証なんだよ」、とカルロさん。
カルロさんの蜂蜜には瓶ごとにシリアルナンバーがあり、
ロットもすべてイタリアの原産品(完全生産品)無農薬蜂蜜として管理されています。
取材している間に、お客さんが巣みつの切り売りを買いに
いらっしゃいました。電話で頼んでいたのでしょう。
カルロさんはきれいに切り取って、エイッと瓶に
入れ、「うまく入ったよ」とにっこり。世間話をしたあと
お客さんは嬉しそうに帰っていきました。
東京の無人レジであたふたする自分を思い浮かべます。
20年前ここを訪れた時、カルロさんははちみつが
ぎっしり詰まったフレームを1枚おみやげにくれました。
度肝を抜かれていると、吊るしておけばはちみつが落ちてくるよ、
とのこと。しばらくの間家がはちみつの泉のようなしあわせな
雰囲気に包まれたのを思い出しました。
~ビーポーレン 花粉団子~
ミツバチの足に付着した花粉と花の蜜を丸めて作ったもの。成分は主に果糖、ブドウ糖、タンパク質です。 フラボノイド系ポリフェノールやアミノ酸、ミネラルも豊富。 巣箱の下の引き出しを開けると、花の香りがあたり一面に広がります。出来立てのビーポーレンは ふんわりした感触で、しっとりしています。日本では花粉=花粉症のイメージがあるためか あまり普及してきませんでしたが、抗酸化作用や活力の向上などを目的に多くの国でスーパーフード として重宝されています。採れる場所や花の種類によって成分も異なるそうです。
写真左 現在70歳のカルロさんのお父さんが使っていた巣箱。
写真右 カルロさんの生まれた家。2009年の1月から4月に起こった
ラクイラ地震、2016年、 2017年に起きた地震の震源地で村は壊滅的な
被害に合った。この近辺は地震地帯でもあり、多くの住民が村から離れて
しまい、現在実際に暮らす住民は25人。いまだに仮設住宅で暮らす人も
おります。豪雪地帯の冬は厳しいけれど、慣れ親しんだ山で
暮らしたいのだそうです。
2009年の最初の被害のあと、修繕しかけていたのに、その後
2度の大きな地震が起こり、せっかく直しかけていた家がまた損壊、
なかなかもう一度修理する気力がわかないのだとか。
しかし古いものを大事にするイタリアの人々。いつかきっと元通りに、
いえ、昔のよさを残しながら、今までの何倍も美しく見事な家に生まれ
変わる日が来ることと思います。その時はきっと由緒あるこの家の大理石の
石板がより一層趣を増していることでしょう。
周辺の花々やポルチーニ茸。馬やキアーナ牛などがのどかに過ごしています。カルロさんのはちみつが阿佐ヶ谷に届くことが奇跡のようです。
- 2025.12.09
- 18:53
- コメント (0)
天然はちみつについて
~グランサッソの雄大な山々~
イタリア半島の北から南まで中央を1200kmにわたり縦断するアペニン山脈の最高峰、グランサッソ国立自然公園。 EUの自然保護区域に指定され、手つかずの自然が残る、土も空気も水もこの上なく美しい場所です。ヨーロッパの最も南にある氷河が見られます。 標高は2914m。グランサッソは巨大な石という意味です。世界最大級の素粒子天体物理学研究所やムッソリーニが幽閉されていた場所があります。
~養蜂家 カルロ・ピエトランジェリ氏~
いつも温かく人情味あふれる表情でまわりを魅了するカルロさんは、グランサッソの麓にあるアペニン山脈の最も標高が高い居住区のひとつ、
カンポトストの村で生まれ、12歳までこの雄大な自然の中で育ちました。冬は豪雪地帯、夏の最高気温平均が25℃以下、
夜は16℃くらいになる、典型的なアルプス気候です。
2千年前から羊の放牧が盛んで、ピレネー犬の先祖にあたる、マレンマシープドッグの原産地です。犬たちは古くからこの地で狼や熊から羊や豚などの家畜を守ってきました。また、紀元前より卓越した食肉加工の技術を持つ職人たちがいたところとしても知られています。彼らはイタリア各地で生ハムやサラミを作り、歴史的にも貴重な食文化が残っています。近くのアマトリーチェの街は羊の乳でできたペコリーノ
チーズと豚の頬肉を干したグアンチャーレのパスタ、”アマトリチャーナ”が生まれたところ。取材に行った日も、夕飯にカルロさんがアマトリ
チャーナのパスタを作ってご馳走してくれました。
どんな子供時代だったか尋ねると、「僕は随分じいちゃんに守ってもらったんだ。いつでも味方してくれるじいちゃんだったよ」と。
なんとなく想像できます。その後ローマの下町トラステヴェレ地区で長く暮らし、現在はローマ近郊在住、養蜂の時に山に滞在
しています。ちゃきちゃきのローマっ子、いかにもローマの人に見える半面、山にいる時は山男の顔が垣間見られます。
カンポトストの山で採取したはちみつは、ローマの自然食品店やパンテオン近くの歴史ある薬局で販売され、店主がローマ在住だった30年前、この薬局でカルロさんのはちみつと出会いました。奥様はハーブ薬剤師の資格を持ち、自然食やオーガニックコスメを扱うお店を経営しています。
カルロさんは職人気質で頑固な面もあり、はちみつを作るにあたって一切の妥協はありません。
~良いはちみつを採るために~
よくイタリアの友人たちからも、カルロさんのはちみつは特別おいしいと言われます。カルロさんにどうして?と尋ねると、「イタリアは良いはちみつが採れるところがいくつもある。 味を左右するのは蜜源なのだよ」と。きれいな水と空気、土、気候。はちみつに限らず、イタリアの農産物は、みんなびっくりするほど 味が濃く、香りが強い。もしかしたら花の蜜もそうなのかもしれません。イタリア半島は年間雨量が日本の半分。太陽が燦燦と降り注ぐ乾燥した気候と土地、野菜や果物同様、はちみつもまたその土地の味を ダイレクトに感じられます。カルロさんのはちみつはどの種類もまるで花畑にいるような、華やかな香りが際立ちます。それでいてすっきりした甘味と深い滋養のある味わいに、 はちみつの概念が覆ったというお客様も。かくいう店主も同じでした。

カルロさん曰く、ミツバチはなるべく大自然の中にいた方がよいとのこと。
ミツバチにとってもここは天国のようです。フレームから直接はちみつを一さじ
いただきました。
2日後、戻って同じフレームを見てみると、穴はふさがっていました。
みつばちが穴を蜜と蜜ろうで素早くふさいだのでした。
1匹のミツバチが一生の間に採るはちみつがティースプーン1杯と考えると驚異的です。
蜜がぎっしり詰まった巣箱はひと箱で20㎏ほど。重労働なのが分かります。
効率を重視して利益や生産性を高めようとしたり、まったく同じ味、色、形状を
求めると、加熱したり他の成分を加えたりすることになります。栄養素や風味は
失われてしまいます。養蜂は気温や湿度、天候と密接にかかわりがあり、
色、形状、風味はいつも様々な表情を見せてくれます。自然の影響で毎年変わる
味や香りを楽しむことが大切です。
イタリアの人々には、食べ物とは本来そういうものだという共通の認識が一人ひとりに深く根付いているのでしょう。生産性を上げる、安定供給とは別の視点で、 利益度外視、せっせと最高のものを作り続ける人々と何度も出会ってきました。たとえ食べ物を取り巻く世の中の流れとは違う方向だったとしても、力の許す限り 安全で安心、最高のものを作りたいのです。食べた時に心からおいしいと満面の笑みが溢れる食品、そういった食品はこれからどんどん貴重になっていくと思います。
~カルロさんの工房~
工房の壁には、代々使ってきたはちみつを出す年代物の蛇口があります。その年の優れたはちみつにもらえる賞もいくつも受賞しています。 カルロさんはこの工房でよく一人でラジオを聴きながら作業をします。繁忙期には弟さんも手伝いにきてくれるそうです。
作業はシンプル、フレームの蝋を削り、遠心分離器にかけ、濾過して採取します。
注文を受けてからローマのトッレ・ヴェルガータ大学の研究室にサンプルを送り、花の種類ごとに糖分分析や水分量、抗生物質不使用の検査を2週間かけて行います。 結果が出たら日本の税関で求められる書類を準備します。瓶詰、厳重な梱包をし、飛行機で東京のブオーノイタリアまで送ります。検査料は一種類につき200ユーロ。
~天然はちみつ~
天然蜂蜜の国際的な定義では、果糖およびブドウ糖の含有量の合計が全重量の60%
以上のもの、蔗糖が5%以下と定められています。
元々の花の蜜は蔗糖と水分。ミツバチは蜜を巣に持ち帰り、唾液の酵素で
糖をブドウ糖と果糖に還元させます。これを還元糖といいます。
さらにミツバチは羽を羽ばたかせながら蜜の水分を蒸発させていきます。
国際的な天然蜂蜜の規定では、温度20度における水分量は全重量の20%以下と定められて
います。中には時間をおかずに巣箱の横で採取する養蜂家もいるそうです。そうすると
十分に蒸発させる時間を持てずに水分が多く発酵しやすい蜂蜜になります。殺菌力が強く水分が少ない蜂蜜は腐敗を防ぐことにも適し、これまでもエジプトのピラミッドから当時のままの蜂蜜が発見されています。天然の保存料として腐ることはありません。ちなみに
カルロさんの蜂蜜はどの種類も毎年100g中15.30g~18.50gを保ち、果糖、ブドウ糖の割合は8割を超えています。
これらの規定から外れると、「天然蜂蜜」として輸入許可が下りず、加工蜂蜜に分類され、
関税率も変わります。カルロさんのはちみつは25年間「天然蜂蜜」として日本に輸入され、
無敵の輸入実績を誇ります。ブドウ糖と果糖の割合も常に8割を超えています。
このように、天然蜂蜜とは非加熱、水あめ等他の糖分を加えていないなどは当たり前であり、
それ以外に成分にも厳しい規定があります。高品質の蜂蜜の条件には、気候やミツバチの働きが不可欠です。
天然というと、素朴でおおざっぱな印象を持たれがちですが、天然蜂蜜と名乗るにはこれだけの条件を
自然とミツバチの力だけでクリアしなければなりません。味も素朴というより、人の手では到底作り出せない、イタリアの恵まれた土地ならではの、華やかで
洗練された香りと滋味あふれるものなのです。
写真のように、結晶化した蜂蜜の中に白い模様が見られます。
こちらは水分量が少ない時に見られる兆候。「均一ではないので
見た目が悪いのだけど、これは良い蜂蜜の証なんだよ」、とカルロさん。
カルロさんの蜂蜜には瓶ごとにシリアルナンバーがあり、
ロットもすべてイタリアの原産品(完全生産品)無農薬蜂蜜として管理されています。
取材している間に、お客さんが巣みつの切り売りを買いに
いらっしゃいました。電話で頼んでいたのでしょう。
カルロさんはきれいに切り取って、エイッと瓶に
入れ、「うまく入ったよ」とにっこり。世間話をしたあと
お客さんは嬉しそうに帰っていきました。
東京の無人レジであたふたする自分を思い浮かべます。
20年前ここを訪れた時、カルロさんははちみつが
ぎっしり詰まったフレームを1枚おみやげにくれました。
度肝を抜かれていると、吊るしておけばはちみつが落ちてくるよ、
とのこと。しばらくの間家がはちみつの泉のようなしあわせな
雰囲気に包まれたのを思い出しました。
~ビーポーレン 花粉団子~
ミツバチの足に付着した花粉と花の蜜を丸めて作ったもの。成分は主に果糖、ブドウ糖、タンパク質です。 フラボノイド系ポリフェノールやアミノ酸、ミネラルも豊富。 巣箱の下の引き出しを開けると、花の香りがあたり一面に広がります。出来立てのビーポーレンは ふんわりした感触で、しっとりしています。日本では花粉=花粉症のイメージがあるためか あまり普及してきませんでしたが、抗酸化作用や活力の向上などを目的に多くの国でスーパーフード として重宝されています。採れる場所や花の種類によって成分も異なるそうです。
写真左 現在70歳のカルロさんのお父さんが使っていた巣箱。
写真右 カルロさんの生まれた家。2009年の1月から4月に起こった
ラクイラ地震、2016年、 2017年に起きた地震の震源地で村は壊滅的な
被害に合った。この近辺は地震地帯でもあり、多くの住民が村から離れて
しまい、現在実際に暮らす住民は25人。いまだに仮設住宅で暮らす人も
おります。豪雪地帯の冬は厳しいけれど、慣れ親しんだ山で
暮らしたいのだそうです。
2009年の最初の被害のあと、修繕しかけていたのに、その後
2度の大きな地震が起こり、せっかく直しかけていた家がまた損壊、
なかなかもう一度修理する気力がわかないのだとか。
しかし古いものを大事にするイタリアの人々。いつかきっと元通りに、
いえ、昔のよさを残しながら、今までの何倍も美しく見事な家に生まれ
変わる日が来ることと思います。その時はきっと由緒あるこの家の大理石の
石板がより一層趣を増していることでしょう。
周辺の花々やポルチーニ茸。馬やキアーナ牛などがのどかに過ごしています。カルロさんのはちみつが阿佐ヶ谷に届くことが奇跡のようです。



