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Kyoko's Diary
 
和食の本
2008年5月15日(木) 

ミラノの書店に並ぶ私の本
ミラノの書店に並ぶ私の本
 ついに私の本がイタリアで出版された。内容は、イタリアの家庭で可能な和食のレシピ本。今回はイタリア料理ではないけれど、イタリア料理も和食も、家庭で作って食べるという私の基本コンセプトは変わりません。
 イタリアはヨーロッパでも料理に対してかなり保守的な国で、和食がブームになっているとはいえ、自宅で和食を作って食べるイタリア人なんて日本人が家庭でパスタを作る回数に比べたら微々たるものだ。多くのイタリア人は海外旅行に行ってもイタリア料理のレストランに入るし(もちろんシルヴィオみたいになんでも食べる例外の人もいるけれど)、とにかく自国の料理が世界で一番の国民。そんなイタリアで和食の本を出版できたのだから、素直にうれしい。

 出版社HOEPLI(エープリ)はミラノの中心地にある大きな出版社で、出版社の下には大きくてりっぱで、良い書店がある。出版社自体は主に大学の教材や辞書など硬派な本を出版している由緒ある会社だ。今回の料理本はエープリではめずらしいそうで、どんな反応がでるのかドキドキする。

 本を作っていて苦労したのは、日本で作る和食をそのまま作ったのでは上手くいかない、でもマヨネーズやケチャップなどもともとの和食にない食材を使わないで作りたいことだった。アレンジは極力控えてみた。というのは、スローフードの国のイタリア人が、しょう油や味噌、酒やみりんなど和食によく使われる食材がいかに優れた食材で、自然の中から生まれた食品かわかってくれるのではないかなという期待があるのだ。イタリア人は何から作られているかわからない食品を特に警戒する(笑)。しょう油が何からどうやって出来ていて、健康的な食材か今まであまり知られていなく、「しょう油は体に悪い、とか、日本人に大腸がんが多いのは漬け物をたくさん食べるからだ」とかとんでもない記事が雑誌にでていて目が点になったこともある。それもあって日本で手作りのしょう油や味噌を作る人々を取材させてもらい、これらの食材にどんな効能があるかわかりやすく説明した記事をレシピと一緒に載せた。

 そして私はイタリアで長年暮らして、イタリア人が好きそうな味の傾向とか、嫌いそうなものとかをよく見てきたので、それも役に立ったと思う。例えば大抵のイタリア人はぬるぬるした食材が嫌いで、ヤマイモとかジュンサイ(この2つはイタリアでは見かけないけど、例として)とか、昆布のヌメリとか、ああいうのが気持悪いみたいだ。ある人は、中華料理のあんかけをあろうことか「鼻水みたい」と言う(!)
 それから餅のような弾力のある食品も、米だから大丈夫と言ってもイタリア米はパラパラして粘り気がないため、なぜ米がこうなるのか検討もつかないらしい。まるでゴムマリを食べているようだと抵抗があるのだ。そしてたいていは皆はっきりした味を好む。こちらでデリケートな味と言えばあまり褒め言葉になっていないこともあるくらいなのだ。

 あと一番困るのは、水の違いかしら。日本からよい昆布と鰹節を持って来てダシをとってみても、カツオ節は臭く感じるし、昆布もとにかくダシがでない。米も日本米特有の粘りがでないく、ボソボソしてしまう。ローマの和食レストランの料理長さんに話をきいたら、やはり彼も水が一番困ると話していた。
 だからここで完璧な和食を再現するなんて無理なんだけど、でもまあイタリア人に日本の家庭で普通に食べているような料理が受け入れられたらうれしいな。

あ、タイトルは「IL GIAPPONE IN CUCINA」。"日本の台所"とか、そんな感じかしら。

今日子


   

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