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Kyoko's Diary
 
フェットチーネ入りオムレツ
2008年4月7日(月) 

 今日はまたお昼に友人を招待した。新しい家をまだ見せていなかったため二つ返事でとんできた友人は、かなり年配の夫婦だ。旦那さんはイタリアで数多くの名作映画(グレタ・ガルボの映画とか)の吹き替え専門の声優をやっていた人で、年をとってもいい声の持ち主だ。いろんなお客さんがくるけれど、お年寄りと子供においしいと喜んでもらうのが一番難しいように思う。
 ここ一ヶ月は卵の季節で鶏がたくさん卵を生むため、農家は卵で溢れかえっている。私の家は鶏を飼っていないので、何軒もの農家が生みたての地鶏の卵を届けてくれる。もらってくれてありがたいと思うほどたくさんあるようだ。卵が大量にある時は、よく生パスタを作る。私は生パスタを作るのが好きだ。うどんよりずっと楽で、何よりも私の作る生パスタを本当にものすごくおいしいと、多くのイタリア人が喜んでくれるのだ。今日も生パスタを作って大量のアスパラガスで和えて食べた。こんなにおいしい生パスタは久しぶりだよと友人夫婦は大喜びで、3回もおかわりしてくれて作った甲斐があった。

 さて、夜になり皆が帰ったあと、夕飯を作ることになった。午前中ずっと料理していたので(タルトとか、いろいろ作ったのさ)面倒くさい。子供がいると自分が食べたくなくても夕飯を抜かすわけにはいかない。そこで、多めに作って茹でておいた、あまったフェットチーネを卵焼きにすることにした。これは冷めたフェットチーネの定番料理で、オリーブオイルでさっと炒めたフェットチーネに牛乳、パルメザンチーズを入れた卵液を流し入れ、スペイン風オムレツのように焼くのだ。卵のパスタ入り卵焼きという不思議な料理なのだが、とてもおいしいのだ。この料理のためにわざわざフェットチーネを茹でるわけではなく、あくまでも冷えてのびたあまりもののパスタで作るのがよい。今日は写真を撮り忘れたので残念だが、ふんわりした卵の中にプリプリしたパスタの感触が楽しい。色も黄色でみるからにおいしそうだ。黄色って実においしそうな色だ。バナナの黄色とかバターの黄色とか、どら焼きのふちの黄色とか・・・。

 話は変わって、今度、ミラノのHOEPLI(エプリ)という出版社から、和食の料理本を出版する。全部イタリア語で、写真はシルヴィオが撮ってくれた。この一年、私の頭の中は“イタリアで和食”でいっぱいだった。日本で和食を作るのに比べてなんと難しいことか。一番困るのは、水が全然違うことだ。日本から持ってきた材料でご飯を炊いてもダシをとってもなんか違う味になる。ほんと、海外で“とんでも和食”とかできあがっちゃうのが少しは理解できる。日本でイタリア料理を作るのもまた難しく、水や小麦粉や、はては空気まで違うと悩むのと同じだ。宇宙では味覚が鈍くなるので味の濃い食品を持って行くときいたが、なんだかヨーロッパにいても味覚が変わるような気がする。よく欧米人がダシや日本酒の微妙な味がわからないと言うけれど、こっちにいると確かに地元の材料の味がはっきりして濃いので、和食のデリケートな味は負ける。

「イタリアで手に入る材料を使って」というのが条件だったので、日本の家庭でできる簡単な料理で、デフォルメを最小限に抑え,なおかつイタリアで作ってもおいしいと思える料理を選んだつもりだ。だから日本人にしてみればなんてことないかもしれないが、しかしこちらでは今日本食はすごいブームだ。一見、ただの寿司ブームかと思いきや、そうでもないようだ。

 現に、今日きたジョルジョ(吹き替えの友人)の奥さんのオルガが食後になにやら変なものを飲んでいた。「あんた、一体何飲んでるのさ?」というと「これkombuっていうの。体にいいっていうから毎日飲んでいるんだけど臭くって」という。kombuって、昆布? 緑色の粉末を水に溶かして鼻を摘んで飲んでいる。味見するとたしかに昆布だが、日本のだし昆布より旨味が少ないような気がする。水に溶かしただけでは本当にまずい。まるでしばらく洗っていない金魚鉢の水を飲んだよう。
 これはさあ、こうやって使った方がいいんじゃない。と私はその粉末で即席のみそ汁を作ってみた。「まあ!これならおいしくいただけるわ」と、オルガはレシピをメモして喜んで帰っていった。聞くと、梅干しや豆腐、銀杏なども食べるそうだ。銀杏は日本から特別に取り寄せたもので、一日3粒飲めと言われたそうだ(一体なんの療法かしら)。銀杏もちょっと匂うかもしれないけど、でもおいしいよと言うと、「これも臭いの?」と疑いの目で見られた。納豆も臭いけどおいしいしゴルゴンゾーラだって臭いじゃないか。オルガがまるでカプセルの風邪薬を飲むように、銀杏を3つ食べるのかと想像すると、笑いがこみ上げてきた。こんな調子で、薬のように和食材を取り入れているイタリア人に、私の本が役に立てばいいんだけどなあ・・・・。

今日子


 




 





   

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