オリーブオイル屋 ブオーノイタリア
HOMESITEMAPお問い合わせ
ウンブリア便り 森の書斎から ショッピング くちこみレシピ 店舗案内
ウンブリア便り 〜 Kyoko's Diary
HOME > ウンブリア便り > 財布もどってくる
Kyoko's Diary
 
財布もどってくる
2008年3月10日(月) 

 この間落とした財布が戻ってきた。みんなに言われたとおり、少し離れた村の郵便ポストから警察に届け出があった。中に入っていたお金はもちろんなかったが、カードや免許証は全部そのままだった。滅多に現金を持ち歩かないのに、あの時はたまたま車の修理代を払うため250ユーロ(5万円くらい)入れていたのが痛かった。

 スリや泥棒が多いイタリアに住んでこの方、お金を盗られたのは初めてだ。一度バスの中でポケットから財布を抜かれるのを目撃して慌てて取り返したら、次の瞬間バスのドアが開き、スリは一目散に逃げ出したことがあったけど。ドアが開く直前に犯行におよぶらしい。お金の代わりに自転車の盗難にならローマであったことがある。がっかりしてシルヴィオに電話すると、「僕なんか今までに19回も(自転車を)盗まれたんだから」と妙な慰められ方をされた。

その後何年かして、仕事で2週間ローマに滞在した時、友人に借りた自転車をまたしても盗まれてしまった。マフィア取り締まり対策本部の真ん前だから大丈夫だろうと思ったのが甘かった。日本だと自転車を盗まれても見つかる可能性があるが、イタリアでは自転車の防犯登録などないので戻ってくることはあまりない。ところが、仕事が終わった最後の日、スーツケースをゴロゴロと押しながらトラステヴェレ地区を歩いていると、なんと、盗まれた自転車を押して前を通るホームレス風のおじさんがいた。

私は「あー、あの自転車!」とさけび、スーツケースを持って走った。その自転車はまさに盗まれた友人の自転車で、自分の自転車とまったく同じものなのですぐにわかった。友人と一緒に買ったお揃いのチェーンも付いていたし、間違いない。ところがそのホームレス風のおじさんは、
「俺はちゃんと金払ってこの自転車を買ったんだ。だからこれは俺の物だ。でもそんなに言うなら仕方がないから、まけといてやる」というのだ。私の自転車(友人の)なのに、なんで私が買い取らなければならないのか、しかも相手に安くしておいてやると恩まできせられて。空いた口がふさがらないでいると、シルヴィオが横で「じゃあ20ユーロでゆずってよ」と言ってさっさと払ってしまった。「なんで、なんで払ったのよ!」と地団駄を踏むと、「昔のスパルタでは、牢屋に入るのは泥棒じゃなくて、物を盗まれた方だったしねえ」とひょうひょうと言った。そうか、盗まれた方もたしかに悪いのかもしれないが、日本人の常識からいったらやはりここは、
<この場でこのおじさんを警察に突き出し、怪しい奴から自転車を買ったおじさんも悪いことになり、このおじさんはもう次回からは怪しい奴から物を買わないようにしよう、自転車は持ち主へ>っていう風にならないかしら???

やはり日本での常識は他の国では通用しないことも多い。ま、今回は財布が戻ってきただけでもよかったことにしょう。

今日子


   

PAGE TOP
HOMEウンブリア便り森の書斎からショッピング店舗案内SITEMAPお問い合わせ
Copyright (C) 2004 Buon'Italia Co., Ltd. All Rights Reserved.