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ウンブリア便り 〜 Kyoko's Diary
Kyoko's Diary
 
ローラ
2008年2月26日(火) 

いつも一緒だった2匹
いつも一緒だった2匹
 5日前、ローラが死んだ。7歳だった。7年前、地元の小さな新聞に「黒ラブの子犬、メス売ります」という小さな記事を見つけた。電話をかけてみると、夜7時にどこそこのホテルで待っていますと言われた。なんだか変なイタリア語だとシルヴィオが言う。車で約1時間のそのホテルに着いて待っていると、車から1人のおじさんがでてきて、トランクを開けた。中には尻尾をこれ以上ないくらいブンブンふっている子犬がいた。「でもこれ、胸に白いマークがあるけど、黒ラブじゃないんじゃあ・・・」というと、おじさんは「とんでもない、正真正銘の黒ラブだよ。大事にして下さいね」と言って今の200ユーロくらいの額を請求し、いやに懇切丁寧にエサのやり方などを告げて行ってしまった。黒ラブの雑種だということは一目でわかったが、あまりのかわいさにそんなことどうでもよくなって連れて帰った。車の中で、シルヴィオが「なんか変なイタリア語だと思ったら、あの人ジプシーだ!」と言っていた。
 ローラは賢くて誰とでもすぐに仲良くなり、一緒に住んでいる牧羊犬トンボラや飼い猫3匹の耳掃除が大好きだった。いつも機嫌良くしっかりしていて、何があってもローラなら大丈夫と安心できる犬だった。
 具合が悪くなったのは引っ越しをして3日目で、家が変わってショックだったのかしらと思った。獣医に診てもらうと、寒さで腎臓が炎症を起こしていると言われ、薬をもらった。その後、忙しさやら家族中インフルエンザにかかりバタバタしているうちに、3週間たったが治らない。これはおかしいと、別の医者に診てもらうと、なんと、全身に癌が転移していると言われた。それから2日後、ローラはあっという間に死んでしまった。ローラが癌だなんて、本当にちらりとも考えなかった。悪くなる前はご飯もよく食べたしよく走っていたし、相変わらず太っていたし、なによりまだ若かったし。

 遺体を引き取り、前の家の近くの林に埋めることにした。カポッチ家のカンディドが、ローラの大の仲良しだったラッファ(犬)を連れて穴掘りを手伝ってくれた。そこへ偶然通りかかったマリオおじさんが飛び入りで手を貸してくれた。ローラはマリオおじさんの鶏を5羽食べちゃったこともあるのだが、マリオおじさんはいつでもローラをかわいがってくれた。キツネが掘り返さないように石灰を入れたり、即興でどこかから持ってきた金網や石を入れてくれたり、緑の苔がびっしりついたきれいな大きな石を墓石にして、最後に落ち葉を敷き詰めた。お墓の周りは野生のシクラメンがたくさん咲くところなので、きっと春には花でいっぱいだ。ローラが大好きだった散歩コースだし、きっともう苦しみも終わって安心して散歩できるだろう。今の私とシルヴィオにとって、カンディドとマリオおじさんの親切ほどうれしいものはなかった。

 次の日からは近所に住む何人もの友人がローラの死を聞いて、焼いたケーキや生みたての卵を持ってかけつけてくれた。姉妹のようだったトンボラは随分がっくりきてさみしそうで、時折ローラを探している。できるだけ一緒にいてあげなくては。こんどトンボラを連れて、ローラのお墓に行ってみようと思っている。

今日子




 


   

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