皆さんお久しぶり。前回の引っ越しの話から随分間があきました。なんと、引っ越す予定だった家はとうとう出来上がらず、引っ越し1週間前にドタキャンするはめになったのだ。約束では7月の終わりに出来上がるはずだった。新しい家にはりっぱな畑など作っちゃったし、激しく落ち込む。その上、8月は今度の本の締め切り（今度の本はイタリア語なんだよ）もあって、こういう時はやはり何かが必要だと思い、アマゾンで「ガラスの仮面」を全巻購入し、締め切りと平行して読みふけった。昔読んだ時と同じように、今読んでものめり込んじゃうね。主人公のマヤちゃんが「あたし、やっぱりお芝居が好き」と突き進んでいく姿を自分に重ね、「あたし、やっぱりイタリアが好き。イタリア語も好き」とつぶやきながら、なんとか8月最後の日に原稿を渡し、ひたすら眠りにつく。

　知人には、「新しい家は気をつけた方がいい」と後で言われた（先に言ってほしかった）。日本人の私は新築の家というだけでうれしくなるけど、イタリアでは一概にそうとも言えないのだ。そういえば、イタリア人は家を建てる際、お金がなくなった時点で1年も２年も工事を中断し、また貯金ができた頃にのんびり再開する。さらに、もしそれが自分の家だったりした場合、とりあえず住める部屋を作っておいて、工事中の家に住む人もいるのだ。大家さんもそのつもりで私達に貸す予定だったらしい。

　さらに、知人は「もしその新築の家に住んだとして、暖房とか水道とか、上手く機能しないと大変じゃない」と言う。“上手く機能しない”なんて、新しい家なのにそんなはずは・・・・、いや、イタリアなら十分ありえる。今までのことを考えると、新しく買った冷蔵庫、湯沸かし器、掃除機、ガソリンスタンドも、自動販売機も、電車のドアも、数え上げたらきりがないほど機能していなかったかも。ポジティブシンキングだったんだな、私って。
　イタリアって、修復中の建物なんかもいつまで〜もいつまで〜も工事してるよなあ、そういえば。というわけで、しばらくお休みしたあと、パアッと北アルプスまで行ってきました。次回はそのお話です。

今日子