お久しぶりです。すっかり夏の陽気で暑い日が続いています。ここしばらくの話。
　イタリアでは何が起こっても驚かないことにしようと腰を据えていたつもりだった。引っ越しの約束だった4月末、結局家が全然出来ていないので予定が３ヶ月伸びたのだ。ここ２ヶ月、何度も新しい家に行っては、誰もいない家を見てがっくりしていた。大家さんは「大丈夫、大丈夫、心配ない」と言い続けたが、引っ越し１０日前になって床板も貼ってなければ壁も塗れていない状態、外は瓦礫の山、とても１０日間で全部できるようには思えないと判断した。（もっと早く判断すればよかったが、イタリア人の好きな“奇跡”でも起こるかとわずかな期待を寄せていた。）友人は「私、イタリア人に“心配ご無用”と言われると不安になる」と話していたけれど、まさにその通りだ。
　着々と進む工事で、「家ってこんなふうにできるんだねえ」と６歳の息子に見せようと思っていのに、いつ行ってもほとんど工事が進んでいなく、住んでもいないのに「もう飽きた」と言われてしまった。

　引っ越しに備えて段ボールを１００箱用意し、家中の本の埃を払い、中に詰めて（我が家は本だらけ）準備は整っていたのだが・・・。本の整理は楽しい。やけに古い本がたくさんあるとは思っていたが、なんと、シルヴィオのおじいさん（シチリア人でエジプト王の秘書
をやっていた）の書いた本が何冊か見つかって感慨深い。難しくて内容はよくわからないので残念。それはともかく、仕方がないので今の家の大家さんにあと３ヶ月程ここにいても良いか訊ねたら、快く引き受けてくれた。

　そろそろ夏野菜を植える時期なのだが、収穫は主に8月だから、
一応新しい家の庭の畑を耕してこちらで畑仕事をすることにした。
だが家庭菜園というのは遠いところにあると、なかなか難しい。
通うのが面倒になって途中で挫折する人も多い。私など、庭の１０メートル先に足を運ぶのでさえ面倒だと思うことがあり、柵の入り口をもっと近くに変えてもらったりした。出不精だし、毎日のように車で通って水をあげるのは大変だなあ。私の不安をよそに、今年は例年より随分気温が高いせいか、２月に植えたトマトの苗がどんどんりっぱに育っている。
　
今日子

＊ ３月に刊行された「イタリア・マフィア」、増刷決定です。読んで下さった皆様、ありがとうございます！