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ウンブリア便り 〜 Kyoko's Diary
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Kyoko's Diary
 
引っ越し
2007年2月12日(月) 

 いろいろ考えた末、引っ越すことにした。今の家は今でも愛着があるのだが、最近どうも家の傷み方が激しく、水道、電気など大幅な工事をしなければならなくなったのだ。イタリアでは古い家は重宝がられるが、きちんと修復工事をして住むことになる。今の家は大家さんが工事をする気がまったくないらしく、たまたま口コミで近くに昔の家を修復した、いい家を見つけたのだ。

 新しい家もこの近辺で、オリーブの木もあるし、畑も十分作れる広い庭がある。今の食生活は維持できそうなのでとうとう決心をした。
 
 さて、この新しい家の大家さんは、ちょっと変わった人である。近くの小さな村でレストランをやっていて、ここまでは普通だが、なんと彼は、午前中は郵便配達のおじさんなのだ。仕事は午後2時までで、毎朝車で近辺の村に郵便を届ける。終わるとレストランで夜遅くまで料理をする。料理が好きなのだ。イタリアスローフード協会の認定も受ける、小さくてこじんまりしたレストランで出される料理は頭一つ抜きでている。フォカッチャやパン、自分で作る野菜や肉、ハム類など、手作りの良さが実によくでている。「今年は飼育する豚を5頭も絞めたわ」と奥さんが言う。こういった料理はまず都会では食べられないだろう。サービスはゆっくりで、その都度作っているから注文して食べるまでに時間もかかる。「なんでもっと事前に用意しておかないの?」と聞いたお客さんには、「だってその場で作った方がおいしいもの」と余裕の表情。

 新しい家はこの大家さんがアグリツーリズモか何かにしようとしていた家で、まだ建設途中。引っ越しは4月末のつもりだ。人づてに家のことを聞いて、直接「貸して下さい!」と頼みに行ったのだ。大家さんは快諾してくれた。お客さん探しに奮闘するよりは、決まった人が長期間借りてくれた方が良いと喜んでくれたのだ。

 そして時々会って話をするうちに、大家さんはあまりに料理が上手なため、友人や親戚が誰も食事に招待してくれなくて残念だという話になった。そりゃあそうだろうな。母親でさえ、「この人に料理をするのは恥ずかしいわね」と言うそうだ。「僕はお母さんに習ったことばっかりで、全然そうは思わないのになあ」と苦笑いする大家さん。
 そんな悩みがあったのか、と笑っていると、横からシルヴィオが「じゃあこんどうちで和食を作るので来て下さい」と言った。「ギャーッやめてくれー!」と叫びそうになった。和食は食べたことがないそうだが、材料もほとんどそろわない所で和食を作るのは辛い。だからといって、カリフォルニアロールみたいな欧米風の和食をこの人に出すのは気が引ける。これだけ食べることが好きな人だから、やっぱり本当の和食のおいしさを紹介したいじゃないか。
 
 大家さんは「そりゃあ、うれしいですね」と大喜びだった。それにしても、イタリア人って基本的には濃い味が好きなんだなあ。「とってもデリケートなお味ですね」というのは大体がおいしくないと言っているようなものだ。トマトもエスプレッソも、ゴルゴンゾーラ(青カビチーズ)もビシッと濃い。やっぱり食べ物が人を作るのだと妙に納得してしまう。

 和食を食べたことのない大家さんに、これからどんな和食を作って招待しようかと、毎晩頭を悩ませている次第だ。

今日子










   

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