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ウンブリア便り 〜 Kyoko's Diary
Kyoko's Diary
 
生ハム
2006年3月9日(木) 

今日のお昼ご飯
今日のお昼ご飯
ようやく去年の生ハムが完成した。例の、腿肉の中心に穴が空いた生ハムだ。この穴に空気が残って肉がよく乾いていなかったため、もう1度干しなおしたのだ。友人が半分買いたいというので、たまたま半分に切ったら穴を発見した。正直言って、この半乾きの生ハムを味見した時、嫌な匂いがしてすでに腐っているのではないかと思った。農家の人の言う通り、表面にコショウをまぶし、上からキッチンペーパーをかけて一ヶ月干しておいたのだが、もしかしたら一本捨てることになるかしらと心配していた。

生ハム専用の包丁で薄く切ってみる。見た目はきれいなピンク色で十分乾いているように見える。最初に開けた時はどす黒い変な色だった。塩の入っていないパンにのせて食べてみると、不安は一気にふきとんだ。あの腐ったような変な匂いはまったくない。気持ちがパアッと明るくなった。これで今年もおいしい生ハムを食べられる。去年より多少塩辛い気もするが、この自家製の生ハムはハムの白い脂と一緒に食べると、塩分をほどよく調和してすばらしい味わいになる。脂独特の甘みがあり、ちっとも脂っこくないのだ。パンも、日本の白いご飯と同じで塩が入っていないことが大切で、一緒に食べると生ハムの塩加減がちょうど良い。

生ハムをはじめて作った時、心配だったので農家の人に作ってもらうように頼んだら、皆やんわりと断ってきた。この辺りに別荘を持ち、週末や長いバカンスを過ごしにローマからくる家族が去年作った生ハムは、中が腐って丸ごと一本捨ててしまったという。そういうのが3件あったと農家の人から聞いた。生ハム作りはリスクもあり、熟練の農家の人でも他人の生ハムは責任が重くて作りたがらない。長い間作っていても、時々予期しないことが起こるという。干す場所もどこが最適か分かるのに何度か試してみなければならないが、一番大切なことはやはり肉に十分に塩が浸透していなければならないということだ。塩はスーパーで売っている塩では乾燥し過ぎて上手く肉になじまないため、多少値段も高めだが、必ずタバコ屋で売っている塩を使う*。

*政府専売だったが、最近は市場が解放され別の場所でも購入できる。スーパーで売っている塩より質がよく、結晶化しているが、ジメジメとしているのが特徴だ。パスタを茹でるときによく使う塩で、日本ではなぜか岩塩と言われている。しかしこれは岩から採れる塩ではなく、海の塩である。結晶化しているので岩塩と呼ぶのだろう。

先日村の銀行のおじさんと話をしたら、毎年豚の解体をしていたのだが、息子がスーパーで買う豚肉の方が好きだというので解体はやめてしまったと残念がっていた。農家で飼育する豚は飼料を一切与えないで、ドングリをたっぷり食べて育った豚である。私は今では飼料を食べて育った豚肉は脂臭くて食べられないと思ってしまうのだが、イタリアでも若者の間ではだんだん手軽な冷凍食品などを手にする若者が増えてきているときく。

私にとっては自分で作る生ハムと塩なしパンはアジの干物と白いご飯のようにうれしいものなのだが、ムムムとうなってしまう話だった。

今日子


   

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