今年もパンペパートの予約がたくさん入り始めた。先日、シチリアから今年初の農園の無農薬オレンジが届いたので、さっそくパンペパートに欠かせないオレンジピールを作り始める。
ピールはうまくできるだろうか、ナッツ類はどこで仕入れようか、今年は何個作れるだろうか、など、11月になるとパンペパートで頭がいっぱいになる。ホームページでもキーワードを"パンペパート"で検索している方がどんどん増えてきているので、作り始めた3年前とはだいぶ違うなあと思う。
オレンジピールはオレンジを30個、皮を剥いて砂糖で1週間煮る。毎日30分程弱火で煮て、じわじわと砂糖をしみ込ませていくのだ。7日経ったら皮を気温が低めの場所で1週間乾かしてできあがりだ。だいたい11月の終わりにピールができあがるので、それからパンペパートを作り始めて日本に送ると、12月の2週目あたりに届くのではと予定している。
皮をピールにすると、中身がたくさんあまるのでマーマレードを作る。このマーマレードがまた、他のオレンジで作ったマーマレードとは比べ物にならない程おいしい。マーマレードを考えたのはイギリス人と言われていて、実際イタリアではそんなにポピュラーなジャムではなく、苦手な人も多い。しかしシチリア独特の気候で大事に育てられたオレンジで作るマーマレードは、香り、酸味、甘み、すべてにわたって群を抜いている。マーマレードってこんなにおいしかったのかと作った本人も驚いている。
先週の土曜日、いよいよオリーブの収穫が始まった。始まったと思ったら、午後から雨が降って皆一斉に家の中に引きこもった。雨で濡れたオリーブを収穫すると、水分でオリーブにカビが生えてしまうために2、3日は中断だ。夕方には気温も一気に3度まで下がって、明日のイタリア中部は天気予報で雪とでている。この寒い中の収穫で、いつ天気が回復するのだろうかと、窓から曇り空を眺めて心配になる。今年は家の周辺のオリーブの実が少ない。6、7月、花の咲く時期に猛暑で花が散ってしまい、そのあと雨が多かったため実がならなかったのだ。あとは少ない実にオリーブオイルのおいしさが集中してくれることを願うばかりだ。収穫が終われば搾油所にオイルを搾りに行き、日本に着くのは12月ん中旬までには届くかと思う(希望と予定)。オリーブオイルにパンペパートと、この時期は普段眠っている緊張感も取り戻す。
*料理教室に参加ご希望の方、お問い合わせ下さいましてありがとうございます。今年の12月はピエルサンティの本の翻訳の仕事が立て込んでいまして、帰国できそうにありません。この本の仕事が終わる春頃(希望と予定)には一度日本に行けたらなと思っておりますので、その時はよろしくお願い致します。文春プラス文庫から12月6日発売の「オリーブオイルのおいしい生活」では、料理のレシピもたっぷり入っておりますので、ぜひお試しになって下さい。
今日子 |