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Kyoko's Diary
 
ロメオおじさん
2005年3月25日(金) 

オリーブの木の中で
オリーブの木の中で
今週の日曜日はパスクワ(復活祭)だ。学校も日本で言う春休みになる。夏休みが長い分冬と春の休みが1週間ずつだが、はやくも高速道路は大渋滞になっている。

パスクワで親戚が泊まりにくるので、献立を考えなければならない。パスクワの食事は普通子羊の肉を食べることになっているので、近所の農家に予約しておいた子羊を買いに行った。またしても解体だ。つい最近一年に一度買う子牛の肉を45キロ買ったばかりなので、さすがに解体には消極的だ。豚肉のようにベーコンや生ハムなど面白い部分もないし。

行くと既に皮をはがされた子羊がぶら下がっている。一番最初に見た時はギエー!となり、逃げ出そうかと思うくらいショックで、吐きそうになった。これも慣れというものなのか、今回はあのようなショックはなかった。この子羊を売ってくれるおじさんは、ロメオさんといい、83歳の高齢だが、見た目は20歳は若く見える。60年以上の畑仕事と動物の世話でかなり鍛えられているのだろう。いい顔をしているな、といつも思う。

このロメオおじさんの包丁さばきがすばらしい。最初見た時はショックも忘れて見とれてしまった。何十年も使っている、博物館にありそうな包丁と金づちで、無駄な動き一つなく解体していく。とり肉でも他の動物でも切ってみるとわかるが、切れやすい軟骨や間接の部分に包丁を入れるようにしないと、切れなくて苦労する。無駄に包丁を入れると肉に傷もつくし、えらく大変な思いをする。それをロメオおじさんは一ミリの狂いもなく、スイスイと切っていく。しかし動作はゆっくりで、まるで本当にこの肉に感謝の気持ちがこもっているという切り方だ。

「わしは肉はほぼ毎日食べるけど、でも一度にそんなにたくさん食べるわけじゃあないから」とぽつりと言う。「一切れか二切れ、随分小さいよ」と。昨今のイタリアでは肉よりもっと魚をたくさん食べろとさかんに新聞などで書き立てているが、ロメオおじさんは魚なんて高価なもの、ほとんど口にしたことがない。それでもこれだけ健康なのは、飼料を一切やらないで自然に育てた自分の家畜を適量質素に食べ、いつも体を動かす仕事をしてきたからなのだろう。癌の世界的権威のイタリア人の医者は、「癌になる原因の30%は食べ物からきている」と言う。環境汚染よりもなによりも”人間の体を直接作る”食べ物からだと。自分の食べているものがどんな食品で、何からでき、どうやって作られたかに気をつけることを、自然に実行している人なのだなあと思う。

明日はこの子羊を使って料理をするので、どんなものかお楽しみに。

今日子


   

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