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Kyoko's Diary
 
豚の解体はじまる
2005年1月15日(土) 

空豆とアニメッレ
空豆とアニメッレ
今日いよいよ豚を絞めた。去年は日本から帰って次の日だったため時差ぼけで眠り込んでしまったが、今年は一からすべて手伝う。一日目は殺した後熱湯をかけながら毛をナイフでおとしていく。庭でドラム缶に火をたいて行う。耳もきれいに洗いツルツルになったら、トラクターで160キロ近い豚を吊り下げて真っぷたつに切る。この辺りからだんだん動物ではなく肉に見えてくる・・・。よく中世の絵画やヨーロッパの映画などで肉屋にある豚と同じだ。

それから内臓を取りだし、血液、アニメッラと言われる胸腺の肉を取り除く。今日は夕食に胃とアニメッラを料理する。二、三日前からエサをやらなかったので、胃はほとんど空だ。普通キロいくらで計算するのだが、エサを食べていると5、6キロは重くなるので値段もそれだけ高くなる。あと胃の洗浄が大変になるので、やはり空腹のまま殺されてかわいそうなどとは思わないことにする。胃はきれいに水で洗った後、ニンニク、オリーブオイル、ペペロンチーノ、トマトでソースを作り、香草に野生のミントを入れる。このソースにタンザク切りにした胃を入れ、圧力鍋で一時間煮込む。普通の鍋なら2時間以上煮込む。

柔らかいがシコシコとした歯ごたえの残るトリッパの出来上がりだ。牛のトリッパが主流だが、豚の方が味がふくよかな感じだ。トリッパは前日から用意したトスカーナ豆を塩で柔らかく煮たものと一緒に食べる。ぴりっと辛口のトリッパと柔らかく煮えたやさしい味の豆との相性も抜群だ。いつも書くが、私は内臓関係は一切苦手なのに、トリッパっておいしいんだなあとつくづく思った。

アニメッラは内臓とは違い普通の豚肉なのだが、胸の部分で脂や軟骨のような骨があるので、これまたとても味がよくでる。こちらはニンニクとオリーブオイル、たっぷりの刻んだローズマリー(生)、塩で、炒め煮のように1時間半から2時間蓋をして弱火にかける。最初に強火で表面に焼き色をつけるということはしないで、ジワジワと中火で脂をだしていく。たくさんでるので、それを別の小鍋にとりわけておく。この脂をとらないとしつこくなってしまう。途中でもう一度カップ半分くらいの刻んだローズマリーを入れるとさらに香りが高くなる。このアニメッラは、別に前日に煮ておいた乾燥空豆と一緒に食べる。こちらも柔らかく塩で煮ただけのものだが、アニメッラと一緒にお皿にとる。空豆は途中とりわけた脂を上に少しかけると、ほっくりした空豆が喉にするりと入る。どちらの料理もボリュームたっぷりだが、豆は穀類と違い胃にたまらないのでさらに軽くいただける。

農家の人の話だと、昔は脂肪の多い豚ほど価値が高かったそうで、豚の値段を決める時には必ず「ラードは何キロとれるかね?」というのが重要だったそうだ。それが近頃はコレステロールが気になったり、豊かになって他で栄養を十分とれるようになったために脂肪分の多い豚は嫌がられる。脂が少なく肉が多い方がずっと健康にも良いし味も良いということだ。近頃シエナの方の首に白い三日月がある豚が復活して流行りだしたが、昔風の脂肪分が多い豚だそうで、この辺りの人は脂肪の少ない豚を好むそうだ。

明日は豚の解体第二弾である。ソーセージやベーコンなど一気に様々な部門に入る。がんばろう。

今日子


   

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