今日はパンペパートを作った。毎年1回この時期にだけ作るクリスマス菓子。パンペパートはウンブリアでも南の方だけのクリスマス菓子で、ちょっと北の方のペルージャなどではもう作られていない。最初見た時は、なんて変な形の食べ物だろうと思った。泥を丸めたような華やかとはほど遠いお菓子だ。
しかし試しに買って食べてみると、オヤッと思った。チョコレート、カカオ、4種類のナッツにピール、干しぶどう、エスプレッソ、リキュール、ハチミツなどなど材料名に様々な名前がある。そして何より気に入ったのが、中にコショウがたくさん入っていることだ。
チョコレートとコショウはとても合う。興味がわいたので作ってみることにした。レシピは近所の主婦に聞いたが、それぞれ自分のレシピを持っていてちょっとずつ違う。私が思いついたのは、買ったピールではおいしくないと、自分でシチリア産無農薬オレンジを使った手作りのオレンジピールを作ったこと、干しぶどうは3ヶ月以上ラム酒に漬けておいたこと、リキュールはそれぞれ好きなものを入れるが、ナッツがたくさん入ったお菓子なので、自家製クルミのリキュールを入れたこと、最高級のチョコレートを使ったこと、固めるための小麦粉を最小限に抑えたことだ。これが、市販されているパンペパートとは似ても似つかないおいしいものに変身した。
作る時一番大変なのは、5キロのチョコレートを削る作業だが、これも今年は友人でレストランをやっていた人に業務用の機械を借りたので大変ではなかった。あとは材料を全て混ぜ合わせてみそ汁用のお椀に入れて型を作り、オーブンで焼くだけだ。焼くのは200度のオーブンで約6、7分、焦げないように焼く。小麦粉が少ないので形が少し崩れるが、後で冷えた時に直せばよい。これで出来上がりだ。
チョコレートをオーブンで焼くなんて不思議なものだが、一度食べるとやめられないおいしさだ。
去年は阿佐ヶ谷の店にいらしたお客様がこのパンペパートを見て、「何十年も前にイタリアで一度だけ食べたお菓子で、次にイタリアに戻ったときは見つからなかった。こんな所でまた出会えるなんて!」と感激してくれた。見つからなかったのは、やはりこの時期だけのお菓子だからだろう。こんなに喜んでいただけて、作った方もとてもうれしかった。
12月7日前後にブオーノイタリアの店に並ぶので楽しみにしていただきたい。
今日子 |