この間は「クレージマ」と呼ばれるカトリックの宗教行事があり、近所の家族に招待された。この行事は、キリスト教の子供が12、3歳になると、一人前の大人として正式にキリスト教徒になれるという行事で、キリスト教徒にとって大変重要なことなのだ。司祭が資格があるかどうか決める行事である。
私も夫もキリスト教徒ではないのだが、近所の親しくしている家族がぜひに、というので行くことにした。もちろん、それぞれ大々的にプレゼントを用意する。田舎だからかわからないが、女の子はアクセサリーなどが多く、男の子はデジカメなどの家電で、ちょっと値のはるものが渡される。うちは親戚ではないし、何を渡したらいいか迷ったすえに本を渡した(あまり喜ばれていなかったかも)。
小さな村の教会は子供たちと親戚がごったがえしていた。主役の何人かの子供たちは長い式のあと、司祭にオリーブオイルを額に塗ってもらい、正式なカトリックと認められる。その後親戚と司祭で一緒に写真撮影をするのだが、招待された家族の親戚の女の子が、写真を一緒にとるのを嫌がってちょっとした騒ぎになった。
その子は17歳の高校生で、なんで信じていないのにこんなことしなければならないの!と怒っていた。実際誰もこんなこと真剣に信じていないでしょ、と。日本人の私からしてみれば、宗教とは無縁の生活をしているので、実際村のみんなが毎週日曜日に礼拝に行くことに興味津々だった。若い子はどんどん少なくなってきているが、この女の子もやっぱり・・・、と内心思った。
それでも両親が熱心に教会に通い、このクレージマでは、親戚一同30人以上が集まって式の後みんなでレストランに行く。普段見かけないような親戚でもはるばる遠くからやってくる。
私たちも食事に行ったのだが、例のアンティパスト、プリモが2皿、セコンドが2皿、サラダ、ケーキ、果物と、延々と続くやつだった。これだけ食べるとはっきり言って気持ち悪くなる。もちろん、費用は子供の家族が出す。全部でいくらかかったことかとそっちの方も気になる。
ナポリの家族に招待された友人の話では、朝10時から教会に行き、1時から昼食がはじまったのに、午後5時になってもプリモが終わったばかり、というものすごく長い昼食だったという。さすが、南の方はよけいに濃い内容だ。
皆そうやって自分たちの懐がどれだけ豊かか、どれだけ太っ腹か、ということを誇示するのだ。大切な宗教行事と言っても、そういうことも重要なのだ。それにしても、長時間の食事はやっぱりイタリアっぽいなとつくづく思った。
今日子 |