そろそろ冬野菜を畑に植える時期なのだが、今年はまだ夏野菜が終わっていないので場所がなくて困っている。
一ヶ月遅れで始まった夏野菜のズッキーニやナスは、今でも細々と実をつけており、引っこ抜いてしまうにはもったいない。
最近わかったことは、ズッキーニは普通に店で売っているキュウリぐらいの大きさのものより、ヘチマのように大きくなった方が旨味が多くておいしいということだ。
普通市場では育ち過ぎとして売っていないので知らなかったが、育てるようになってよくわかった。太くて大きくなったズッキーニは、5ミリ程の厚さに切ってフライパンで少量のオリーブオイルで焼くか、オーブンで塩とオリーブオイルをかけて焼くのが良い。
塩をふっただけの野菜なのに、甘みと言うか、濃い味がしてうなりたくなるようなおいしさだ。素材がおいしいと、何もつけなくてもこれだけおいしいし、いくら食べても飽きがこない。
イタリアの野菜は、みんなそれぞれ大きさも色も違う。でも味は濃くてパンチがきいている。たとえば、トマトを収穫する時のトマトの葉や茎にある野性味溢れる強い匂い、そういったものが食べた時にどの野菜にも感じられる。
日本の野菜が色も形も一緒できれいに店頭に並べてあっても、味は糖分と水分が多いだけというのが本当に残念だ。イタリアでトマトの勉強をしてこれから日本でトマト農家をやろうとしている友人と、なんだか日本人がこの味に慣れてしまうのが怖いねと話をした。
彼女が言うには、消費者と農家の間にいる市場がこの状態を作っていると言う。消費者が求めている野菜が直接農家に伝わらないのだ。
流通が楽なように、野菜の大きさが大、中、小と決まっていて、それ以外は高く売れない。農家はトマトに水を多くやるとおいしくなくなるとわかっていながら、きれいな形でたくさん採れるように水をやる。
一個いくらと値段をつけると、形が悪かったり小さい野菜を選ぶと損をするけれど、イタリアのように1キロいくら、と重さで値段をつければ今の作り物のような野菜も少なくなるのでは、とも考えてみる。
今日子 |