いつもおいしいと思っていたトマトの種類、パキーノについていろいろと面白い話がある。うちに来ているトマトの勉強をしている友人は、今南イタリアのトマト農家めぐりをしている。この10日間はシチリアのパキーノに行っていた。
パキーノは、シチリアの一番南にある村のことを言う。イタリアのスーパーでトマト・パキーノと言えば、他より値段も高く、おいしいと定評がある。
それが、友人がそこの農協の社長さんにきいた話だと、パキーノという種類のトマトは存在しないという。存在しないってどういうことかと聞くと、パキーノと名前を付けるとよく売れるので、スーパーなどではそういう名前にしているそう。
パキーノ村で作っているトマトの種類はカモーラという種類で、オランダ産とアメリカ産のものだそうだ。あとミニトマトとグラッポラという、よくある真っ赤で大きめのトマトの4種類をつくっているそう。
ではどうしてここのトマトがおいしいのか。社長さんが言うには、そこの土地は土に海水が混じっている。地下水にも海水が入っているので、トマトの味がよくなるそう。なぜおいしくなるかというと、普通のトマトは水をたくさん吸うと水っぽくなって甘みも旨味も少なくなる。それが海水になると、根にストレスがかかって水分は最小限にしか吸わない。それでトマトの味がよくなるそうだ。
この海水は普通の野菜には良くないそうだが、トマトにだけはうまく作用するそうだ(日本では海水はトマトに良くないという説が圧倒的で、海水の土地のトマトを作っているところは1つだけだそうだ。値段も高いらしい)。
イタリア人でもあまり知らないようなことを、友人はよくがんばって聞いてきて、本当にすごい成果だと思う。日本に帰ってトマト農家を経営するという希望を持っている彼女に、期待は大きくなる一方だ。日本でおいしいトマトができる日も近いはずだ。
*今日でウンブリア日記も200回目を迎えた。これからもがんばっておもしろい、おいしい話を掲載したい。
今日子 |