Casseruola(カッセルオーラ)という言葉がある。シチュー鍋、キャセロールのことだ。でもキャセロールよりカッセルオーラの方が私の耳には心地よく響く。
コトコトとイタリア風肉じゃがや牛肉の赤ワイン煮やらを煮込んでいる楽しくて満ち足りた感じがする。
最近いろんな人に圧力鍋を使うように勧められるのだが、どうしても使う気にならない。皆そろってどんなに便利かを力説する。たしかにきいていると本当に便利だ。固い豆や肉が短時間でとても柔らかくなる。
それでも、どうも私には爆発するような気がしてならない。上手に使えば爆発なんてしないだろうが、一つの容器の中で好きな肉や野菜がどこにも出口がない、パンパンの状態になることを考えると、やっぱりやめとこうと思う。
ゆっくり何時間も煮る「コトコト」の方が柔らかくなり方や味も微妙に違うような気がするのだが。
ある時ドイツ製の15万円程するロボで、シチューもパン生地もジェラートもなんでも作れてしまう機械を友人に勧められた時は困った。目の前で全部作ってもらったが、ブ〜ン、ブ〜ンとひたすら変な音がして、「コトコト」はまったく聞こえてこなかった。
やっぱりこの音がなくなったら何かをつくる面白みが半減してしまうだろうな、としみじみと思ったのだった。
今日子 |