友人のフランス人のおばちゃんは、いつもNOをはっきり言う。日本人にしてみれば、ちょっと気を悪くするくらいきつい言い方だ。そしておばちゃんはいつも「気にしないでね、フランス人はみんなこうなの。本当に礼儀ただしくないって世界中の人から言われるわ」と言う。
小さい時から自分の意見をはっきり言うよう言われて育つからだそうだ。あなた、コーヒー飲みたくない?と自分が飲みたい時に相手に同意を求める形で聞くと、いいえ、私はいらないわ、とそっけなくされる。そのおばちゃんの93歳の姑(イタリア人)は、いつもそれでコーヒーを飲めなくてがっかりする。
それで夫にフランス人は本当にみんなそうなのかと訪ねると、たしかにそういう傾向は100%ではないけれどあると言う。そして会話の中でオープンに話そうと言う表現で、「フランクにいこうよ」という言い方があるが、この「フランク」は「フランス」のことなのだそうだ(知っている人もいるだろうが)。
そうだったのか、と目からうろこが落ちる思いだった。私はこの断り方が冷たい感じがして慣れなかったのだが、だんだん、あ、そう、と受け流せるようになってきた。たぶん日本人の友人たちの間でいきなりこのNOを言ったら一瞬みんな目が点になると思うが、まわりも普通に人は人、私は私、を貫いている国柄はすごいなあと思う。
周りの雰囲気を大切にして協調性を求める日本とは正反対だが、日本のようにあとで根にもってねちねちしないのもいいかんじだ。
今日子 |