ナスとリコッタチーズのオーブン焼き:シチリアの料理。シチリアは、ギリシャやアラブ、フランス、ドイツなどの様々な国に支配されてきたせいか、いろいろな国の料理が混じっていて面白い。
言葉も、アラブ語かと思うような方言で、普通のイタリア人にもわかりにくい。私などは、街でシチリア人の団体が話しているのを聞いてイタリア語と思わなかったのだが、あとでイタリア人と聞いてショックを受けたことがある。
ナスやピーマン、トマトがとてもよく育つ温暖な気候で、それらがアラブの料理とマッチしたらしく、シチリア料理はアラブ料理と似ていると言われる。一年中温暖で、夏の猛暑でも夜に涼しくなる気温の変化が赤や黄のピーマンの生育にとてもいいそうだ。日本のパプリカからは想像もできないような大きくて目の覚めるような色のものができる。
私の知り合ったイタリア人でも、シチリア料理が一番好き、という人は結構多い。
ナスとリコッタチーズのオーブン焼きは、ナスを5ミリ程度の薄切りに塩をふって重しをし、アクをとる。水がたくさんでたら、少量の油で一枚づつ裏表をサッと焼く。
中に詰めるリコッタチーズは、シチリア地方の塩が入った固めのリコッタチーズを使うのだが、ない場合は普通のリコッタチーズでもまったく問題ない。
ズッキーニ1本とタマネギ半個、赤ピーマン(中)半個を生のままミキサーにかけてドロドロの状態にし、少量のオリーブオイルで水気が飛ぶまで炒める。そしてリコッタチーズ500gと和え、塩を少々ふっておく。
火を通しておいたナスにリコッタチーズをのせてクルッと巻き、オーブン皿に敷き詰める。
トマトの種と皮をとったものを角切りにし、タイム、オリーブの実、オリーブオイル、塩をして混ぜたソースをナスの上にかけてオーブンで30分ほど焼く。
半日休ませると味が落ち着いてよい。ナスのとろりとした柔らかさと、リコッタチーズのフワッとした柔らかさと乳製品独特の濃厚な味が絶妙の、すばらしい組み合せだ。前菜にも、付け合わせにもいい一品だ。
今日子 |