ヨーロッパのドルチェはちょっと甘すぎて、という日本人は多いと思う。実際イタリアのドルチェも砂糖の甘さばかりが際立って、少ししか食べられないのに、一切れが大きすぎて困ると言う人も多い。

しかも、レストランでプリモ、セコンドと続いて満腹になったところで甘いケーキがでてくると、ウッとなってしまう。

イタリア人が言うには砂糖は消化を助ける働きがあるそうだ。ドルチェを食後に食べるのは、油をたくさん使った料理を食べた後に胃が一生懸命働くのを助けるためだ。

そしてオリーブオイルの質を気にするのは、質によって消化に良いかどうかが決まるからというのもある。質の悪いオリーブオイルを使った物を食べると、当然胃に負担がかかり、あとで胃酸がたくさんでたりするのだ。

日本食にはもともと油はあまり使わないし、ドルチェは3時のお茶の時間に食べるものなので、砂糖の山ほど入ったドルチェを肉やパスタの後に食べることは日本人には辛い（イタリア料理には日本食と違って砂糖を使わないことも大きな理由だろう）。しかしこれも習慣で、最近特にたくさん食べた後などに私も何か甘いものが食べたいと思うようになってきて驚いている。

他に消化を助ける働きがあるのは、エスプレッソだ。やはりたくさん食べた後エスプレッソを飲むとすっきりする。日本人やアメリカ人が食後にアメリカンコーヒーを飲む感覚でカプチーノを飲むのを、イタリア人は冷ややかな目で見る。特に牛乳が入っているから、胃を膨張させる働きのある牛乳は食後に飲む物ではないとしているからだ。

他にも食後酒で消化を助けるものがいろいろある。代表的なのはグラッパで、これもたくさん飲んで味わう物ではなく、お腹が苦しいと思った時にちょこっと胃を助けるために飲むのが良い（空きっ腹では強すぎるし）。

炭酸入りのミネラルウオーターや、コカコーラ、トニックウオーターなどもそうだ。炭酸は胃の働きをよくする力があるという。

以前山のように食事をした後で水道水を差し出されて、「私には重すぎるわ」と言って笑われた人がいる。要するに、ガスの入っていない水では今まで食べた物が消化できないということなのだが、では水のことを言う前に今食べた脂っこい物のことを気にした方がよい、ということである。

コカコーラももともとは胃の調子が悪い時に飲む薬だったのを、ある日薬剤師のところで手伝いをしていた若者がその薬がおいしくてたくさん飲んでいたのをきっかけに、これは売れる！と現在のコカコーラを発明したそうだ。だからアメリカ人はあのような食事で一緒にコカコーラをがぶ飲みするのだ。

消化を助ける物がこれだけ充実しているのは、やはり肉食で油や脂肪分をたくさん摂る食生活のせいなのだなあと、最近つくづく思う。

今日子