もう少しパスティエーラ・ナポレターナの話。ナポリでその昔、小麦(豊かな大地の象徴)、リコッタ(羊からの贈り物)オレンジ(これも大地の香りで、大地からの贈り物)、卵(誕生のシンボル)を人魚に贈った。人魚は幸せの象徴とされていたので、こういったものを贈ることで人々は自分たちの幸せを願ったのだ。
人魚はこれらのものを海の底にいる神々のところへ持っていき、足下に並べた。そして神々の前で美しい歌を歌って聞かせた。このリコッタチーズや、オレンジ、卵があまりにいい香りがしたので、神々はこれらでケーキを作ったと言う。これがパスティエーラ ナポレターナの元になったという。
そして1700年代に、ナポリの王様 Ferdinando II di Borbone(フェルディナンド 2世 ディ ボルボーネ)はオーストリアのマリア テレーザ姫と結婚したが、この王女はいつも怒っていて、ちっとも笑わなかったという。
あるパスクワ(復活祭)の日にこのパスティエーラ ナポレターナを王女に贈ったところ、初めてニッコリ笑ったそうだ。王様はやっと王女を笑わせる方法が見つかった、しかしまた1年後のパスクワまでは怒ったままかなあと言ったそうだ。
ナポリより南に行くと、リコッタチーズではなく、カスタードクリームで作るところもあれば、別の地域ではお米を入れたりするそうだ。パスクワの料理だが、もちろん今では1年中みんなに愛されるケーキとなっている。
今日子 |