子供の頃は苦いものがきらいだったが、だんだん味覚が変わってきたのか、苦味がおいしいと思うようになった。
私の好きな苦いものの一つに、まずオリーブの燻製がある。黒オリーブを燻製にしてオリーブオイルとニンニクとオレンジの皮などに漬けたものだ。噛んでいるとオリーブの苦味が最初にくるのだが、だんだんふんわりと柔らかい甘味に似た味に変わるのだ。
野菜にも苦いものがたくさんある。サラダの中に、ラディッキオというチコリの仲間で、紫キャベツとレタスの間のようなものがある。これも苦くて子供は嫌がるが、有名なラディッキオのリゾットの他に、生でサラダとして食べると特に苦いと感じる。しかし後味がさっぱりしていてよい。オーブンでモッツァレッラチーズとアンチョビと一緒に焼くと、苦味をチーズが柔らかくし、アンチョビで味の深みが混じっておいしい。
エンダイブなどのチリチリのサラダも苦いのだが、肉の付け合せにすると消化を助けるせいか、肉をすっきりと食べられる。
チコーリアという野草で、タンポポの葉の種類のものが春と秋にたくさん生える。これもとても苦くて最初はなにかと思うのだが、ニンニクとオリーブオイルと塩、唐辛子で炒めるといかにも野性的な香りがする。あまり苦いので、これは体に良いと言い聞かせながら食べるとだんだんおいしくなってくるから不思議だ。
苦いものはワインともよく合う。苦味とワインの味が混ざって複雑な味になり、口の中でしばらくいろいろな味が楽しめるのだ。ワインも少し苦いし、苦味にはいろいろな味があっていて飽きないものだなと思うようになった。
今日子 |