うちの大家さんは自分の家用に羊を5頭ほど飼っていて、その羊の乳を搾ってリコッタチーズとペコリーノチーズを作っている。朝だいたい4時頃から搾りたての乳でリコッタチーズを作る。時々たくさんできた時に届けてくれたりするので、夫は大喜びだ。

リコッタチーズは脂肪分の少ない、赤ちゃんの離乳食にもよい健康的なチ−ズだ。もっともアレルギーで乳製品が食べられない子には別だが、それでも羊のなら大丈夫という子も多い。牛の乳で作ったものと羊の乳で作ったもの2種類があるが、羊のチーズの方が伝統的でおいしいとされ、イタリア全土で作られている。一番有名なのはローマのものだという。

私は羊のチーズは全て苦手なのだが、この大家さんの作るリコッタチーズは特に強烈な匂いがする。夫に言わせれば、こんなにおいしいリコッタチーズを食べたのは子供の時以来だそうだが、羊独特の匂いが、スーパーで売っているものの3倍くらいするのだ。

その日作ったものをその日のうちに食べないと味が変わってしまう。しかし大家さんのところのはどうしてこんなに匂いがきついのだろう。大家さんが言うには、彼女の羊は乳が黄色いので成分検査してもらったのだけど、脂肪分が普通の羊より多くて、より濃い乳なのだそうだ。

リコッタチーズはいろいろな食べ方があるが、甘いものから塩味のものまですべてによく合う。年配の男の人がよく食べるのが、エスプレッソの粉と砂糖を上にふりかけて食べる即席デザートだ。

他にもパスタにからめて食べたり、チーズケーキに使ったりなどなど。チーズケーキはナポリの名物で、パスティエーラ・ナポレターノというチーズケーキの元祖のケーキがある。普通のチーズケーキと違ってレモンの代わりにオレンジの香りをつけるのがおもしろい。今度ぜひ詳しく書いてみたい。

今日子