サンマルザーノというトマトがある。長いトマトだ。サンマルザーノはナポリより少し南にある街だ。このトマトは果肉が多くて種が少ないので、ソースにするのに最適だと言われている。
しかし買ってみてがっくりきた人も多いのではないか。トマト特有の香り高く、甘くて酸味のある味がしない。しかし評判はとても良い。自分が間違っているのだろうか?と思ってしまう。
このトマトはもともととても病気や災害に弱い種類で、とてもおいしいのに少ししか採れなかったという。そこで改良に改良を重ね、病気にならない強いトマトになったのだが、味はおかしくなってしまったのだ。しかもスーパーで売られているのはまだ緑の頃に収穫してしまうので、もっとひどいことになっている。
畑で熟してから採ったものはそれでもまだ違う。そして水分も少ないので、冬用に瓶に詰めて使うには必ずと言ってよいほどこのトマトを使う。
このトマトをおいしく食べようと思ったら、まず熟したものを選ぶことである。店で熟していなくても、10日くらい日陰に置いておくと熟する。その次にセロリやにんじん、たまねぎ、その他の香草をたくさん入れて煮こむことだ。肉と一緒に煮こんでも、本領を発揮するように思う。
そして出来たソースは野菜こし器でこしてしまう(ミキサーを使うと空気が入って泡がでて台無しになる)。こうすると濃厚でトロッとした、なかなかおいしいトマトソースができる。トマトは種類によって料理の仕方も変わるので、とても面白い。
今日子 |