冬用トマトというのがある。冬に栽培しているビニールハウスのトマトではなく、サンマルツァーノ、とかパキーノとかと同じで、そういう種類のトマトである。
このトマトはこの辺りでは、種を取っておいて次の年の春にまた植えるので、100年近く続けている農家もある。そして植えた時は普通に水をやるのだが、ある程度大きくなると収穫までの3ヶ月一切水をやらない(雨がたくさん降ると腐ってしまう)。
そうしてできたものはミニトマトほどの大きさである。皮はオレンジ色で、水をやっていないのでとても硬い。食べる時は皮をむいて食べる。イタリア語でトマトは”pomodoro”(ポモドーロ)、金のりんごという意味で、昔のトマトはきっとこういう色だったのだろうと想像がつく。
8月の終わりから9月始めに収穫して、日陰に干しておく。食べるのは2、3ヶ月後だ。干しておいたトマトは中が熟成されていて、乾燥トマトと違い、硬くなく、生であるのに味がとても濃い。
地鶏をニンニクとローズマリーで炒めてオリーブの実を入れ、このトマトを少し入れて一時間ほど煮こむとトマトの味がうるさくなく、肉の味が引き立ってものすごく味わい深くなる。
他にイタリア風オムレツを作ったり、ズッキーニと一緒に炒めてパスタに使ったりもする。いずれもたくさん入れてトマトソースにしてしまうのではなく、ちょっといれて素材の味を引き立てるのに使う。
今年は苗を分けてもらったので私も作ってみた。さて何年続くことやら。
今日子 |